というニュースがありました。(全文はこのエントリーの一番下に引用してあります)
記事が短すぎて詳細がよくわからないからアレですが、
それなりにインパクトの強いニュースだったので、ちょっと反応してしまいました。簡単に箇条書きにすると、
- 遺伝子のランダムな変異によって、人類の知性低下の危険性がある。
- 狩猟採集時代は、自然選択によって人類の知性は高まっていた。
短いだけに危険というか、このニュースだけ見て反射的に
- アメリカの有名大学の教授である科学者が言うんだから正しいに違いない…。
- 昔はよかった。人類は馬鹿になった…。
とか嘆く必要もないんじゃないかなと。
だって、
- 「知性」の定義が怪しい。
- ランダム変異の可能性の半分しか見てなくね?
- 自然選択?
とか思ったので。
「知性」の定義について
ここで言う「知性」って、一体何を指しているんでしょう。
というか、そんな昔の人類の「知性」をどうやって測定できるのか?というそもそもな疑問も。(推論によって導き出したのか?)
(まあそれは実際この論文読まないとなんとも言えないんですけど、そこまでする情熱もないっていうw)
仮に
「知性」=生きるのに有利な力
と見るにしても、
狩猟採集時代の「知性」と、現代のそれとでは、必要な能力が全然違うものになっていて当然だと思うんだけどなあ。
でも記事からすると、ここで言う「知性」って狩猟採集に適した能力のことですよね?
だけど狩猟採集に適した能力が「退化」したからといって、それが即ち「知性の低下」って言えるのかどうかは疑問ですね。
まあ定義問題であって、
「ここでは狩猟採集能力だけを「知性」と定義する。それ以外はここでは扱わない」
とかのお断り付きならわからなくもないですが。
ランダム変異の可能性について
知性の形成に関わる遺伝子がランダムに変異してるんだったら、なぜその働きは低下する危険しかないのか。ひょっとしたら高まる可能性もあるはずではないか。
ランダムなら、プラス・マイナス両方に振り幅があるような気がしますが、どうなんだろ。
それとも、変化=低下と見るのか。
「自然選択」について
「自然選択」といってもなあ…
狩猟採集時代と違って、人類は自然それ自体を作り替えてきているわけで。
今更、狩猟採集に適した能力が低下したところで、それが即、人類の衰退、滅亡に直結するとも考えにくい。
もちろん、仮に、
- ある日突然「人間の世界」たる文明社会が綺麗サッパリ消滅した
- ごく少数の人間が生き残り、大自然に放り出された
とかなれば、今の人間が生きていくのはけっこう厳しいとは思いますが。
身も蓋もない結論というか感想
一応「科学」ということで、タテマエ上は価値判断にまで踏み込まないはず。
この学説も、過去から現在までの成り行きの説明を試みたということであって、これからどうすべき、までは言ってないんでしょう。多分。
「低下」というのも、飽くまである特定の働き、機能について言ってるだけで、優劣、善悪とか評価の話とは切り離して考えないとなーと。
まあ、ぱっと見、いい気持ちはしないけどw
身も蓋もない話ですが、結局
環境も変化するし、人類も変化する。
自然にうつろうし、人為的にも変化が起こされる。
これまでも、そしてこれからも。
ぐらいしか言いようがないっていうw
元ニュース全文引用↓
ヒトの知性、6千年前ピーク? 米教授「狩りやめ低下」
朝日新聞デジタル 11月20日(火)16時49分配信
【中村浩彦】人類の知性は2千~6千年前ごろをピークにゆっくりと低下し続けているかもしれない――。こんな説を米スタンフォード大のジェラルド・クラブトリー教授が米科学誌セルの関連誌に発表した。
教授の論文によると、人類の知性の形成には2千~5千という多数の遺伝子が関係しており、ランダムに起きる変異により、それらの遺伝子は、働きが低下する危険にさらされている。
一瞬の判断の誤りが命取りになる狩猟採集生活を送っていたころは、知性や感情の安定性に優れた人が生き残りやすいという自然選択の結果、人類の知性は高まっていった。
朝日新聞社
最終更新:11月20日(火)21時37分
朝日新聞デジタル